突然理容師に刺されないための話

「そうしようと思えば易々と人を殺めることのできる職業」として有名なのが理容師ですね。旅客機や鉄道の運転手も引き起こしうる殺戮の規模が桁違いに大きいことから良くその名を挙げられますが、自身に危害が及ぶ可能性が非常に小さいという点で、易々と人を殺められる度数ではやはり理容師が一つ抜けていると言って差支えないでしょう。何せ他人の頭部に刃物を向けているのですから。
 全国に数多存在する理容師、もちろん髪を切ることが彼らの使命ですが、毎日のように髪を切っていればたまには他の物を切りたくなってもおかしくありません。例えば頸動脈ですね。頸動脈は髪の毛に似て細く長いので、「頸動脈も細く長いしついでに切っとくかな」と理容師が考える可能性は捨てきれません。
 他にも「耳たぶって別に必要無いんじゃないかな」と理容師が思えば次の瞬間あなたの耳は夏に向けて涼しげなスタイルを纏うことになるでしょうし、「鋏で刺そ」と理容師が気まぐれを起こしたらそれだけであなたは鋏で刺されます。鋏で刺されたらとても痛いので、なるべくなら鋏で刺されるのは避けたいところですね。

 さて、あなたの命運が完全に理容師の手に握られているということが分かったところで、その命運を鋏でちょん切られてしまわないためには一体どうすればいいでしょうか。その方法の一つとして考えられるのが、理容師と密接な信頼関係を結ぶことです。刃物を向けられても安心できる、この人は私を手にかけないと信頼できる理容師を作れば良いのです。あなたは大丈夫ですか? ちゃんと理容師と信頼関係を結べていますか? 「もうちょっと梳いてほしいんスけど」の一言が言えずに頭が重たいままであったりはしませんか? ちょうど今日の僕みたいに。
 そこで今日は理容師に突然刺されないために、彼らと信頼関係を築いていく方法をいくつか考案してみました。

 

1.金銭を渡す

 基本ですね。髪を切ってもらった上に金を渡さないでは信頼関係どころではありません。理容師に刺される可能性はグッと上がってしまいます。必ず金銭を渡すようにしましょう。
 また、渡す金額によっても当然リスクは変動します。一説には渡す額によって反比例するといわれており、1000円カットに通う人は4000円の美容室に行く人と比べて4倍程刺される可能性が高いことになります。不安な方は、1000円カットであっても追加で1万円ほど払っておくといいでしょう。

 

2.こまめに連絡する

 信頼と会話は密接に関連しています。したがって、緊密な関係を築き上げるためには頻繁に電話をかけなければなりません。特に散髪の予定が無くとも積極的に電話しましょう。「仕事の邪魔をすんな」と怒られるようになってきたら良い傾向です。怒りというのは、ある程度の親密さがなければ湧いてこないものですから。

 

3.友人を理容師にする

 理容師と友人になるのが難しい人は、逆転の発想で友人を理容師にしてしまいましょう。知り合いに片っ端から理容師免許の試験要綱を送り付けていくのが効果的です。

 

4.全身防刃スーツを着ていく

 はなから理容師を信用しないというのも一つの手ではあります。刺された場合の被害を減らしましょう。

 

5.理容師になる

 刺されない側が嫌ならば、刺す側に回るしかない。

 

 参考になりましたでしょうか? 今回ご紹介したのは理容師に刺されないための手段のうち、ごく一部でしかありません。最大限の努力と工夫をもって、理容師に刺される心配のない、安心安全な散髪ライフを送ってくださいね。