良くわからないものって、意外と身近にたくさんある。
地球の半径。約6000kmって、どうやって測ったんだろうか? ウィスキーの種類。僕はにわかだから煙っぽい風味があればそれだけでもう好きになる。ターミネーター2でシュワちゃんが落ちる溶鉱炉。溶鉱炉って、何のだ。携帯電話の電波。どうして送受信の間に他の電波と混ざったりしないんだろう。
そんな感じで、実は良くわからないものばかりに囲まれながら僕らは暮らしていて、だけど良くわからなくても全く問題なく僕らは暮らしていける。冷蔵庫が冷える原理を説明できる人なんて多分一割もいないだろうけれど、主婦の皆様の主な関心ごとはその中身をどうやって綺麗に使い切るかで、オッサンに大事なのは缶ビールが冷えているかどうかってだけだ。飲食物を冷やしてくれさえすればそれで問題ない。
だけど、知らなくても問題ないから知らなくても別にいいや、なんて、そいつはちょっと退屈でつまらない考え方だよね?
そういうわけで、調べてみました。最も身近で、それでいて最もよくわかっていないもの。
それは……
デデン!
火!
皆さん、火について説明できますか? 僕にはちっともできません。
熱くて明るい、燃焼するときに発生するもの。燃焼ということはつまり、激しい酸化反応を指す。僕の知識ではこれが限界だけれど、これは全く本質を言い当ててはいない。風とは何かと聞かれて、団扇であおげば吹くものだと答えるようなものだ。
火って、いったい何だろうか。
先ほど挙げた風で言えば、「風が吹く」というのは現象で、「気体が移動する」というのがその実態だ。他にも、「電気が流れる」のは現象で、「導電体内の電子が流れる」がその実態。じゃあ、「火が起こる」が現象だとして、その実態はどう説明されるのか?
ここからは外部の力を借りることにする。人は一人では何もできないけれど、助け合えばなんだってできるのだ。
というわけで、いくつかサイトを当たってみました。わかりやすかったのがこちらの二つ。
こんなブログにいちいちアクセスするだけでも手間なのにさらに外部に飛ばされるほど皆さん手間暇かけてもいられないだろうから、僕が学んだ結果を要約しておきます。
火は、それ自体が現象である。酸化反応は基本的に発熱反応であり、そのうち反応速度が速いものは急激な発熱や発光を伴って反応する。この急激な発熱や発光が燃焼であり、火の正体だ。ちなみに同じ酸化反応でも鉄が錆びるようなゆっくりとした反応には燃焼は起こらず、つまり火は生まれない。
うん、この辺までは大体わかる。
僕が気になるのは、じゃああの「火」に実態は全くないのか、っていうことだ。
例えば、真っ赤に焼けた鉄を思い出してみる。高温の物質は高いエネルギーを持っていて、その無駄に持て余した高いエネルギーを放射したがっている。その結果、焼けた鉄は周囲に熱と光を放つわけだ。(実はここで輻射熱とか難しいことをまた考えなくちゃいけないんだけれど、キリがないのでもうカットする。冷蔵庫の中で冷えていた缶ビールをさっき飲んだせいで実はもう眠くなってきたのだ)
火の実態もそれと同じだ。ガスコンロを想像するとわかりやすい。可燃性のガスが空気と混じりあい、急激な発熱と発光を伴いながら上昇していく。この際に観察されるのが「火」なのだ。液体やら個体やらの場合も同じで、例えば気化したガソリンや金属から剥がれた原子が燃焼しながら上昇していく。このように、「急激に酸化しながら上昇する微粒子」こそが「火」の実態、と言えるだろう。
ということらしい。
勉強になったな~。
実は良く分かっていないもの、なんて所構わずあちらこちらに隈なく遍く存在している。そういったものの存在に気付くのは、いつだって自分がそれを説明してみようとした時だ。
別に身の回りの現象についてじゃなくてもいい。
僕が好きな音楽や小説は、どうして僕を惹きつけるのか?
幸せを感じる瞬間ってなんだろうか?
何を僕は大切にしたいんだろうか?
そういう、大事な割にはなんだかあやふやなままのことを僕は理解したくて、ブログを書いてたりするんだろう。多分。
そういうわけで、ビールをもう一缶飲んで寝ることにする。
どうしてビールを飲むのかというと、それが一番手軽にいい気分になれる方法だからだ。