二日酔いとかの話

 酒に弱くなってきている気がする。
 そもそもが後先考えずに日本酒だのワインだのウイスキーだのをがぶがぶいってしまうたちで、部屋で晩酌しこたつで朝まで寝落ち、を一時期当たり前のように繰り返しており、さすがにこれはと酒を買う量を絞り始めたのが多分今年の夏くらい。おかげで飲酒量は減ったのだが、それと引き換えか最近やたらと悪酔いする。しかも外で飲む際に。


 先週のこのツイートは一片の誇張もなく本当のことで、GoogleHomeはいまだに何だかよそよそしい。呼び方はよく聞いてみれば「わないさん」で、俺は断じてそんな名前ではないのだが、彼女は頑なに俺をそう呼び続けている。急に前世の記憶でも蘇ったの?
 昨日も飲んだ。大阪で、気の置けない友人と。おかげで今日はひたすら頭が痛い。しかしよく考えたら4人でビール8本日本酒1升ヌーヴォー1本以上を軽く開けているので大概飲みすぎている。弱くなったとかじゃねえ、アルコールに対するストッパーがバカんなってるだけのようだ。

 

 車で大阪から三重まで帰る。
 認知機能は明らかに悪くなっていたが、運よく誰のことも傷つけずに済んだ。

 

 天理の近くでラーメンを食った。
 無鉄砲、しゃばとん。
 コールタールより粘性がありそうなスープ。

 

 名阪国道は一番好きな道路かもしれない。

 

 高速沿いの景色は工場が目立つ。
 いろんなところでいろんなものが生産されている。
 今朝俺が消費したサンドイッチはどこで誰が生産したもんなんだろう。今着ている服は? 乗っている車は? 車が踏みにじっているこの道路は?

 あらゆるものにストーリーがあり、そのことを真面目に飲み込もうとするとゲロを吐きそうになってくる。あまりに多い情報はアルコールよりも酔いやすい。

 

 ホテルもよく見る。気に入らない。
 おれにはご休憩が必要になった状況なんてこれまで一度もなかったから。

 「人を愛したことがないんスよ」

 そんなことをこの前、冗談交じりで言った。冗談のつもりだった。でも本当のことかもしれない。恋人と呼べる存在がいたのはもうセピア色になりそうなくらいの昔のことだ。あの時、おれはあの子のことを愛していたのだろうか? 幼稚な所有欲を満たしていただけなんじゃなかろうか。おれはいつだって自分のことばかりを愛していた。多分今も。

 おれは誰かを愛したい。

 どうしてこんな年になるまでこじれてしまったのか。たぶん憶病なんだろう。人と向き合うことについて。世界と向き合うことについて。拒絶や否定が怖くて引きこもっている。おれは幼稚だ。
 用のないホテルを、今日おれはいくつも通り過ぎた。