日記

初めてコインランドリーに行った話

洗濯30分で200円、乾燥20分で200円。相場は知らないが、これはきっと安いのだろう。洗濯機も乾燥機もなく、自分で衣服を手もみし、太陽に衣服を乾かしてもらう手間を考えると。しかし前者の200円は僕の省力にはなるけれど、後者の200円は太陽の省力にしかな…

髪の毛にメッシュを入れている男の話

「いや、友達になれそうもねぇ~」 その写真を見た瞬間、俺はそう口走っていた。 高校時代の、久しぶりに会う女友達。彼女が差し出してきた今の彼氏の写真。 彼の写真を見た瞬間だった。 その髪にはメッシュが入っていた。 その写真を見たとき、俺はどうして…

休みと、ペットショップの動物と、走り回る子どもの話

あまり正当とは言えない理由で今日もお休みを頂いた。要するに体調不良です。 職場に休みの連絡を入れ、「生活リズムは崩さないように」とのお言葉を頂いたその体で二度寝に入り、目を覚ますと12時だった。部屋に食料はなかった。溶けた鉛のように重たい頭と…

一人前になった証としてマットレスを買う話

社会人になって三年目となった。社会人三年目ともなると、さすがに焦りが出てくる。私は未だに自分のことを未熟な若輩者であると思っているし、なんなら会社内を歩く時も「若輩者ですけど~?」みたいな面をして歩いている。「若輩者なんですけど~~??」…

閉じられた大戸屋の扉の前で姉を思う話

近所の大戸屋が潰れていた。 「やる気が出ない」という正当な理由で、今日の俺は残業を早々と切り上げてそそくさと帰ることにした。そそくさとしすぎた余り、社食で夕飯を取るのを忘れてしまった。そこで俺に思い浮かんだのは、そうだ、今日は大戸屋に行こう…

利己的な文章の話

近頃すっかりブログをさぼっていたことを思いだしたので、朝のジョイフルで一筆したためている次第であります。ジョイフルは凄い。モーニングメニューにはデフォルトでドリンクバーが付いているし、フリーWi-Fiまで使えてしまう。さらにご飯の大盛りも無料…

山口に帰る話

明けましておめでとうございます。 実家のリビングに置いてある真っ赤なソファに、毛布にくるまって寝そべった状態で「あ~、帰りたくねえ~」と呟いたところで気が付いた。 そういえば去年は、大阪に行くなのか帰るなのか、山口に行くなのか帰るなのか、ど…

炊き込みご飯に失敗した土曜日の話

炊き込みご飯が炊きあがった音が聞こえたのでワクワクしながら炊飯器の蓋を開けたら、何故だかわからないがちっとも炊き上がっていなかった。いつだってそうだ。僕は肝心なところで失敗してしまう。普通の白飯ならまだ諦めもついたろう。茶色い水に浮かぶ生…

お痒いところを伝えられない話

どこかお痒いところはございませんか、と美容師さんにそう聞かれる度に、僕は「いえ、大丈夫です」と答える。実際に大丈夫で、僕の頭に痒いところは一つもない。 痒いところがあります、そう答える人がいるのだろうか? 頭部のどこかしらかに痒いところがあ…

セーブポイントでシュミテクトを補給する話

人生におけるセーブポイントがあるとしたら、それはやはり実家なのだろうと思う。 たまに実家に帰るたび、実感するのだ。ここ以上に僕を安心させてくれる場所は見つからない。一晩きりの滞在であったとしても、僕は実家で眠ることによって何かを補給している…

蕁麻疹の話

まあこれが痒いのだ。蕁麻疹。19時から20時頃になるとぽつぽつと腕や腰回り、首の裏に表れ始め、痒い。時間が経つと少しずつ増えていくために痒く、酷いときは増えた蕁麻疹が連なって巨大な蕁麻疹となり、結果痒い。 最近これが毎晩で痒くてどうしようもない…

ゴルフに嫌々行く話

ゴルフは社交の手段であり社会人として身に付けておいて当然の教養である、とそういった考え方は未だに深く根付いているらしく、俺も来週開催される社内ゴルフコンペへの参加が半ば強制的に決まった次第である。 全く気乗りしていない。何を隠そう、あまりゴ…

t.A.T.u.の歌を思い出す話

昨晩、高校の同期と飲んでるときにt.A.T.u.の話になったんですよ。どういう流れかは忘れたんですけど、あーいたねそんなやつら、PVで少女二人がキスするやつね、Mステをドタキャンしたやつね、代わりに演奏したミッシェルガンエレファントのミッドナイトクラ…

朝ご飯を食べる話

午前5時くらいに仕事が一段落つき、自分の席で「あ"ーーーー」って言ってたら午前6時になっていた。長い。「あ"ーーーー」が長すぎる。毎日「あ"ーーーー」に1時間を費やすだけで1年で365時間、日数に直すと約15日「あ"ーーーー」とやっている計算になる。人…

半円の重心を求める話

時間があったらそういう計算をしておいてくれ、と先輩に頼まれたので、ぱぱっと解いてやろうと思い紙とペンを取り出した。 わからない。ちっともわからない。 大学生時代初期ならばこんな問題赤子の手をねじり切るくらいに造作のないことだっただろうが、い…

歯医者再通院、の話

前回の治療の際には見過ごされていた虫歯が痛み出したので歯医者に行ったところ、これは歯を抜くしかないですね、と言われた。 「ああ、FF5の主人公ですか」 「それはバッツ、今からするのは抜歯」 これで続けざまに三本の歯が虫に食われてしまったことにな…

置いてけぼりの話

泣き上戸を発症した。職場の送別会、二次会の途中から俺は鼻をすすりはじめ、店を出て解散するかというところで遂にボロボロ泣き出した。頬を涙に濡らしながらタクシーに揺られて帰り、部屋に入るや否や布団に倒れこんでひとしきりしゃくりあげ、それからベ…

ココアの話

最近、頭痛がひどい。頭痛というかなんというか、鈍い痛みが顔の左側を移動する。頬骨が痛むかと思えば次はこめかみの奥がずきずき疼き、やがてそれが頭の上まで這い上ってくる、これを繰り返す。行ったり来たりで節操ない。俺の落ち着きのなさを継承したん…

歩道橋の話

帰省したら、近所の歩道橋が撤去されていた その歩道橋は交差点の東側を南北に繋いでいて 斜めに渡れるわけでもなく、かといって交差点の信号待ちが長いでもなく ほとんど誰にも使われていない歩道橋だった昨日おれが見たとき、ほとんど工事は終わりかけてい…

曇り止めとかUSBメモリとかの話

最近体調が悪いから、職場でもマスクをつけて行動している。 マスクをつけるとメガネが曇る。メガネが曇ると僕が困る。 さてさて困った困った小松菜のソテー、ということで思い出したのが水泳のゴーグルに使う曇り止めの存在で、あいつをメガネに塗りたくれ…

またまた歯医者に行く話

初診からひと月以上が経ち、年をまたいで西暦の数字が一つ増えてからも、歯医者での治療は続いている。 いつの間にか通い慣れてしまった道を寒さに震えながら僕は歩く。歯医者への道中、目に映るのは小児科の診療所と薬局、やけに洒落たカフェ、小さな焼き鳥…

また歯医者に行く話

何故毎週歯医者に通わなければいけないのかと尋ねると、虫歯とはそう簡単に治らないものだから、らしい。 診療室のブースに入って、椅子に腰かける。歯医者にあるもののうち、背もたれが倒れるこの椅子と自動的にうがい用の水を注いでくれる給水器の二つが魅…

チンする話

今までなんとかやってはきたのだが、「電子レンジがあればウインナーをチンして食べることができる」と気付いたのでレンジをネットでショッピングしてしまった。 おれが住んでいるのは会社の独身寮で、一階に食堂がある。食堂ではご飯を食べることができる。…

歯医者に遅刻した話

気付いたら10時半だったので、歯医者の予約に遅刻した。もっと早く来てくださいと受付で叱られ、ドリルを使って歯を削られ、そして二千何十円かを徴収された。金を払ってまで苦痛を味わうなど、特殊性癖を持つ人のためにある風俗店と変わりない。何だって…

植込みの話

雨が降っていたので、今朝は職場までテクテク歩いた。いつもなら自転車で5分足らず、風のように駆け抜ける道をのんびり15分。しかし心にゆとりはなく、職場に着く時間が遅れるせいで朝やらなければいけないことが溜まってしまうのが少し憂鬱だった。 重い気…

『屍者の帝国』の話(あるいは言葉と意思と、そのついでの話)

山口ではやっていない映画を観に来ました pic.twitter.com/IqJatzzqCX— 鰐人 (@wani_jin) 2015, 10月 24 ”君には、僕が見えているか” 屍者の帝国を観た。ので、感想でも書いていきたい。とりとめのない話になると思うが、同時に重要なネタバレもない話にもな…

古い靴の話

丁度セールで安くなっていたので、VANSのスニーカーを買った。と、こう言うだけでおしゃれに疎い僕はおしゃれピープルたちに馬鹿にされないだろうかと少し不安になるのだけれど、別にVANS自体はダサくないよね? VANSをABCマートで買うのはセーフだよね? こ…

休日の僕と時間を奪う灰色の男たちの話

車を手に入れてからというもの船を手に入れた直後のDQ2並みに行動範囲が広がり、休みの度に島や、山や、島や、島や、山に行っている。山口県は島と山へのアクセスビリティが非常に優れている。しかし近所の島はもう行きつくしてしまったので、これからは遠…

砂や岩を見た話

友人二人と旅行に行ってきた。砂に登ったり穴に入ったりしたのがおよそ3割、車の運転が5割を占め、残りの2割は宿で酒を飲んでいた。 道の駅で買ったそれなりに良い大吟醸をうめえうめえと言いながら飲み、飲み足りないと宿一階の自販機で買い足した第三の…

ぐるぐるする話

働いて得たお金が生活するために消えていく。 これは至極当たり前のことなんだけれど、妙にむなしいことのように感じてしまう。満足した生活を送るためには、生活のうちのそれなりの割合を労働に捧げなきゃならない。生活のために労働があったはずが、気付い…