ぐるぐるする話

働いて得たお金が生活するために消えていく。 これは至極当たり前のことなんだけれど、妙にむなしいことのように感じてしまう。満足した生活を送るためには、生活のうちのそれなりの割合を労働に捧げなきゃならない。生活のために労働があったはずが、気付い…

落ちる話

消防署の待合室には穴が開いていて、いざというとき消防士たちはそこから飛び降りて迅速に出動する。 そんな感じの映像を見た記憶があるんだけれど、あれ、実在するんだろうか。一秒でも早く出動するためだとか。 緊急さでいえば朝出勤する時の僕もそんなに…

「言葉の海」

彼女らは海女と呼ばれ、彼女らが海女と呼ばれるようになってからそこには「言葉の海」という名前が付いた。 海女と呼ばれるようになったのは、その出で立ちや生業が従来の海女に酷似しているからだ。彼女等はゴーグルを身に着け、籠を片手に、動きを阻害しな…

「コテージの幽霊」

ここらで一つ、僕が昔見た幽霊の話でも少ししてみようかと思う。丁度折よく、彼のことを思い出したところなんだよ。 兄貴が中学に入って部活で忙しくなるまでは、よく家族全員で旅行したもんだった。その中で最も楽しみだったのは、毎年八月上旬に訪れていた…

俺の話

身体を売ってきた。身体といっても400mlの血液で、売ったといっても対価はアクエリアスとアタックの小袋三つ分だった。痛みを我慢するには安すぎると思うべきか。あるいは、いつもただ漫然と身体を流れているだけのこいつに値段が付くだけありがたいと思うべ…

「手を繋ぐ」

手が生えてきた。人間の手である。誰のものとも知れぬ右手が、部屋の片隅から生えてきた。 非は確かに俺にある。ジメジメしたこの季節に部屋の換気を怠って部屋の隅にひと月分の衣類の山を築き上げていたのだから、その下から何か生えてきくるのは想定されて…

突然理容師に刺されないための話

「そうしようと思えば易々と人を殺めることのできる職業」として有名なのが理容師ですね。旅客機や鉄道の運転手も引き起こしうる殺戮の規模が桁違いに大きいことから良くその名を挙げられますが、自身に危害が及ぶ可能性が非常に小さいという点で、易々と人…

美味いコーヒーの話

一か月ほど前にネスプレッソを買った。カプセル式のエスプレッソマシン。 そこまで舌が肥えていないので、正直なところコーヒーの味の違いとやらは良く分かっていない。「深みのある苦味」とか「酸味の中に隠れるフルーティーな香り」とかいろんな講釈に目を…

健全な話

ミドルネームとして「クリーン」がついた。同期の間で、僕はそういうことになった。あまりにも清廉潔白すぎるためである。主にギャンブル関係と、異性関係の辺りが。 そんなクリーン・鰐人、名に恥じぬ行動を取ろうと思い仕事終わりに十五分ほど歩いて近所の…

またもや喉が枯れた話

今月から味噌が有名な某県に来ているが、案の定喉が枯れた。慣れない土地に来ると僕の喉はたちどころにやられる。赤ん坊さえもあやせてしまいそうなガラガラっぷりである。いい加減にしてほしい。同じ過ちを何度繰り返せば気が済むのだろうか。過去の失敗か…

語りえぬ話

「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」とか言うなら、もう黙りっぱなしになる他僕にはない。でも黙っているのは癪だから僕は喋る。 語りえぬものについてなんてそりゃどうやったって語りえないわけだけれど、じゃあ語りえるものってなんなんだ…

橋を渡る話

時間を持て余していたので、自転車で橋を渡った。 わりと大きな橋だったが、僕にとっては特に渡る意味のない橋だった。本土と離島を繋いでいるわけでもなく、工業団地と工業団地を繋ぐだけの橋だった。立地的にはドラクエ5にあった意味のない橋によく似てい…

脂肪の話

一体なんなんですかね、脂肪。いや脂肪といっても身体にまとわりついているこいつのことではなくて、確かに僕の引き締まった腹筋を覆い隠して腹を醜く弛ませているこいつも気にはなるんですけれど、僕が今話題にしたいのは低脂肪乳です。 低脂肪乳。 牛乳に…

喉が枯れた話

喉が枯れた。慣れないところに来ると僕の喉はたちどころにやられる。ガラガラヘビすら裸足で逃げ出さんばかりのガラガラっぷりである。引っ越してきた初日は部屋の外のベランダに立ち、真下を走る線路と遠くに数本立ち昇る工場の煙を見ながら「ふむ、なかな…

飲み会の話

少しイライラしている。イライラしているのは今に限った話ではない。大きな飲み会の後の僕は、どうしてだかいつもそんな気分になってしまう。 ある程度の人数が集まった飲み会では途端に僕は話せなくなるのだ。明らかな目上や目下が場にいる場合に限ってはそ…

老けた話

前回書いたあの記事を撤回したいような気分になっています。いや別にああやって何かしらか小難しげなことを考えることが間違いだとは思っていないのですが、世の中の有象無象に理屈をつけて言語化して何か分かったかのような錯覚に陥るのだけは最悪です。無…

想像力の話

地元と大学を離れるにあたって、いろんなことをし納めている。例えばラーメンを食ったり、泳ぎに行って温泉につかったり、ラーメンを食ったり、意味もなく渡し船に乗って大正区へと渡ったり、ラーメン食ったり。半分くらいはラーメンの食べ納めだった。 それ…

自転車と図書館の話

一時間かけた旅行日記よりも「アルジャーノンに豚バラを」とかいう全く上手くもないネタツイートのほうが遥かに反応が得られるという事実に直面し、なんだか開き直ってきた。アクセス数稼ぐのを目的にするなら、前書いたトイレとエネルギーの話みたいなのを…

仙人風呂と熊野古道の話

3/14(土)から和歌山の方へ単身旅行に行ってきました。帰ってきたので早速旅行中に書いていた旅日記でもブログに書き起こそうかと思ってPCを立ち上げたのですが、いざノートを開いてみると面倒になってきました。何が面倒かって、最高に読みにくいんです。自…

「ホットコーヒーが飲みたいんだけどなあ」

「ノットコーヒー」ホットを頼もうとして、僕は噛んだ。「はいノット一つ!」注文が通ってしまった。数分後、僕の前にコップが差し出された。その中には奇妙な水音を立てる真っ黒なゼリーのような何かが蠢いていた。「飲めるんですか、これ?」意外と美味い…

眠る前の話

昔の話。大体の少年がそうだったように僕もゲームや漫画が好きだった。特にRPGやバトルものみたいな、「敵」を「僕ら」がぶっ倒しに行くようなお話は大のお気に入りで、ワイルドアームズのロディやガッシュ・ベルが強大な相手に立ち向かっていくのをワクワク…

島根etc旅行withふじいりの話

面白いTwitterの人であり宅急便のことをTQBと略すことでも有名なふじいり(@fuzuiR)と旅行に来ています。— 鰐人 (@wani_jin) March 1, 2015 はい、というわけで二泊三日ほどの電車旅に、twitterとか別に全然関係なくもともと友人のふじいりと一緒に行ってき…

6階とトイレとエネルギーの話

大学で私が所属していた研究室は、主に6階を根城としていた。6階のことは嫌いじゃない。6という数字は素因数分解しやすいので結構好きだ。 そんな6階に対して一つだけ抱いていた不満があって、それは6階には男子トイレがなく女子トイレのみが存在するという…

物語とその基盤の話

KAKERUの「魔法少女プリティ☆ベル」という漫画の最新刊が発売されているのですが、今後この漫画を買い続けていくかどうか、少し悩んでいるところです。ほとんどの人は恐らく知らないであろうこの漫画、ざっくり紹介すると、 魔法の杖に選ばれた女子小学生が…

アンチになった話

あまり何かのアンチになった記憶がありません。そりゃ「ジ。○○。ルのおばはんおばはん言い続けるコントがメチャクチャ気に入らない」「西○○ナの歌詞が生理的に受け付けない」くらいの好き嫌いは僕にもありますけれど、アンチっていうのはもっと、その人のあり…

書けなかった話

ブログを更新しようと思い立ち、何個かネタを考えて書こうとしました。だけどどいつもこいつもろくでもない中身にしかならなかったので消しました。以下に今回得た知見をまとめます。 ・脳が疲れているときに文章を書くべきではない。 ・記事のネタは他に求…

通り過ぎる話

僕が大学へと向かうには地下鉄から私鉄へと乗り継ぐ必要があるのだけれど、その乗り継ぎの際に通る通路に、一人の老女が住んでいる。率直に言えばホームレスだ。多分、僕が大学に通い始めたころからずっと、彼女はそこで暮らしている。毛布とトランクをその…

ちやほやされたい話

最近twiiterのフォロワー数が不穏当な伸びを見せているものだから、僕の自己顕示欲が刺激されている。もっとフォロワーを増やしたい、もっとfav数を稼ぎたい、そういう思いが鎌首をもたげてしまう。構ってちゃんなので。現実ではこんなに人に相手して貰えな…

スマホケースの話

ブログではお久しぶりです、鰐人です。前のブログは僕の悪しき部分を煮凝りにしたような様相になっていたので、消しました。でもまたやりたくなったので再開しました。イエイ! 多少は明るく元気にやっていこうとは思っていますが、とはいえやること自体は別…